120日令で2.4キログラムとなり、より野生のマガモに近い品種です。飼育日数がかかりますので飼料効率、ダック舎回転率は落ちますが、ペキン系のあい鴨と比べよりマガモに近い食感、香り、赤身の色、肉と脂肪の比率が似ている味が非常に良い品種です。現在、このような野生に近い品種の生産は少ないですが、今後鴨肉の食文化が普及するにつれ、高級志向の青首合鴨が注目されてくると期待されています。
20年近く前より全国の合鴨農法実践農家の組織である、「全国合鴨水稲会」に加盟させていただいております。農家のみならず、国立大学の教授陣、研究者、都道府県の農業試験場の研究者が加盟し、技術の発展に力を注いできた団体です。それにより、合鴨農法が、農家に伝承される技能から、科学的に裏付けされた技術へと、飛躍的に発展をしました。弊社では早くから会員として、会より様々な情報や技術を提供いただき、より良い雛の供給を目指しております。
なお、現在、合鴨農法の技術は、国内にとどまらず、東南アジアや発展途上の国々へと、広がりを見せてきております。会では研究者、稲作実践者の使節団を編成し、世界に飛び回っています。弊社創業者、椎名誠一が、戦中戦後の食糧増産のため千葉県とともにあひると稲作の同時作を研究をした理念と重なる部分が多くあります。ぜひ、未来に残したい技術です。
合鴨農法は除草で有名ですが、実はジャンボタニシの駆除にも有効で愛知県、岡山県、岐阜県ではジャンボタニシ対策を主目的に合鴨が活躍しています。
ジャンボタニシは稲を食い荒らし稲作にダメージを与えます。そのため発生圃場では農薬や椿油を撒いて退治します。しかしながら、農薬にしろ椿油にしろ選択的にジャンボタニシのみ駆除するわけではありませんので、ザリガニなども同時に死んでしまいます。
その点、合鴨は圃場内の生物すべてを抹殺するわけではなく、バランスをとることによって稲のダメージを防ぎます。したがって、合鴨農法とはとても環境に友好的な取り組みなのです。
最近、ロボットが家庭にも普及し、掃除の補助などし始めています。いずれは除草ロボットも現れるかもしれません。しかしながら、除草ロボットには、水田環境のバランスをとることはできません。合鴨農法で、水田環境のバランスを取ることにより、いずれはホタルも住める環境に戻るかもしれません。
安土桃山時代には豊臣秀吉が水田への放し飼いを推奨したという文献が残されており、明治大正時代にも利根川沿いの水田地帯では細々と行われていたようです。
近代に入り、戦後の食糧増産のため、千葉県農林課及び椎名人工孵化場創業者椎名誠一によりアヒルの青田飼い(現在の合鴨農法)が研究されました。(昭和19年 椎名誠一著 大型アヒルのかひかた より)
1985年ごろ、富山県の荒田氏、置田氏などが実践していた合鴨による除草法が脚光を浴びるようになり、1990年3月 「 第一回 合鴨除草懇談会 」が富山県福光町で開催されました。
1990年ごろには」福岡県の古野孝雄氏が「合鴨水稲同時作」として科学的に合鴨農法をまとめ上げ、書籍、雑誌に紹介し、全国に広まっていきました。